LGBTフレンドリーと対外的に謳っていなくても、多様な人が働いているので、私も働きやすいです。

LGBTフレンドリーと対外的に謳っていなくても、多様な人が働いているので、私も働きやすいです。

S.Yさん(FTM/26歳)
最終学歴:大学卒業
経験社数:正社員1社
前職:大手メンテナンス ≫ 現職:大手介護

転職成功のポイント
取り組みや制度よりも、働きやすい風土のある会社を選んだこと

カミングアウトする前までは、長く続けていきたいと思っていました。

ー 前職では住宅メンテナンスのお仕事をされていたんですね。

自分は体育大出身なのですが、就活生の頃は手に職が就く技術職に憧れがあり、理系じゃなくてもできる技術職の仕事を中心に選考に進んでいました。いくつか面接を受けて、内定もいくつかもらいました。

最終的に前の会社に入った理由は、アフターサービスという位置づけで戸建住宅やマンションの点検をする仕事内容に興味があったことと、人事の人が話しやすかったこと、初任給も他と比べて高くて住宅手当や退職金制度などの福利厚生が充実していたからです。

ー 実際に働かれてみて、いかがでしたか?

定期的な点検以外にも急なトラブルなどの問い合わせがカスタマーサポートのコールセンター入り、自動的に現場に出ている社員に仕事が振り分けられるようになっているので、残業時間は結構多かったです。

お風呂やキッチンなどの水回りの故障だったり、鍵の紛失や夏場の空調トラブルなど、急いでお客様先のもとへ対応しに行かなければならないので、思っていたよりもなかなかハードな仕事だったと思います。でも、トラブル対応は特にお客様からはすごく感謝される仕事で、やりがいはとてもありました。

幸い体力には自信がありましたし、残業代もしっかりついて休日もちゃんと取れていました。周りの先輩も話しやすい人が多くて、できればそのまま働いていたかったです。

ー 転職を検討されたきっかけを教えていただけますか?

セクシュアリティが理由です。自分はFTMですが、前職ではもともと女性として入社しました。でも、周りの先輩は自分のことをいわゆる女性として扱ってくることはありませんでした。なので、その点でも働きやすい現場でした。

入社後しばらくしてからホルモン治療を始めました。LGBTフレンドリー企業と打ちだしている会社だったのと本社との距離も遠かったことから、特に人事には相談はしていませんでした。次第に声も変わってきて男性っぽさがでてきていましたが、自分と一緒に回ってくれていた先輩はそういうことをあんまり気にしない人で、何か言われるということはありませんでした。

入社から1年が経った頃、戸籍性を変えるために手術をしたいということを営業所の所長に相談しました。仲のよかった同期数名を除いて、始めてちゃんとFTMだとカミングアウトをした人でした。その話をしたときは特に問題になるだろうとは全く思っていなかったんですが、後日、その所長が人事部に自分がFTMだということを話したことをきっかけに、会社全体の大きな話になってしまったんです。

勤務先はLGBTフレンドリー企業でしたが、私にとっては働きにくかったです。

ー その後はどうなってしまったんですか?

よかれと思っての行動だったと思うんですけど、人事の人から『現場に理解のない人がいるかもしれないから知識をつけるために全社員の研修やeラーニングをするのはどうか』という相談を受けたり、『お客様の中に理解がない人がいたときにはどういうフローで対応するのがよいか』など聞かれたりしました。

会社が悪いということじゃないのであまり詳しくは言えないのですが、自分としてはそっとしておいてほしい気持ちが強くなっていき、結局はそこで働き続けるのが難しくなり、転職の道を選びました。

ー LGBTフレンドリー企業と一言にいっても対応のされ方は様々ですよね。

同じFTMでも考え方や希望はそれぞれ個人によって違うのと同じように、LGBTフレンドリー企業といっても実際の働きやすさだったり、できる対応は会社毎に違うと思います。外からみれば、LGBTフレンドリー企業はどれも同じような取り組みをしているように見えるんですけど、実際働いてみると細かいところでの違いがあって、人によってはその違いが働きやすさだったり、にくさだったりに繋がってしまうんですよね。

残念ながら自分が働いていた企業は、カミングアウトしたことで働きにくくなってしまったので、LGBTの取り組み内容だったり、実際の働き方だったりをよく知ったうえで転職先を選びたいと思いました。それでNijiリクルーティングに転職のサポートをお願いしました。

自分に合うLGBTフレンドリー企業で手に職をつけられる仕事を探しました。

ー Nijiリクルーティング転職を利用してみていかがでしたか?

転職先を選ぶうえでは性別移行が可能というのが大きな条件でした。それと自分がFTMであることについて、周りの社員がいい意味であまり関心を持たないような、なるべくそっとしておいてくれる環境がいいと思っていました。

仕事内容については、同じような技術職だったり、他の職種でも手に職を着けていけるようなものを希望していました。

ー 介護業界を選ばれた理由や今の職場を選ばれた決め手はなんでしたか?

前職のような技術職では、クライアント先に常駐して働くというところが多く、セクシュアリティの面での希望を考慮してもらうことが難しいなと思いました。

そこで同じ手に職系の仕事でも介護という分野に目を向けるようになりました。『LGBT 介護』とネットで調べると求人もいくつかヒットしたので、Nijiリクルーティング転職以外でも自分で受けて、内定ももらいました。

その中で、今の職場に決めた理由は、大手で給与面や福利厚生などが前職と同じくらいしっかりとしていたことや、戸籍性をなるべく隠して入社できるように考慮してくれたためです。

ー 『戸籍性をなるべく隠して』という部分について詳しく教えていただけますか?

私は体育大といっても女子が学校名につくので、たとえ戸籍を変更できたとしても、履歴書にはその記録が残ってしまいます。私は女子として生きていたことは消去したいと思っていたので、それがとても嫌でした。その話をキャリアアドバイザーの方にしたところ、応募時は正式な学校名を記載しないとだけど、現場で保管する用の履歴書は工夫してもらえないか企業に相談してみてくれるということになったのです。

企業側はこのような希望を内定者からもらったことは前例がなかったようで、キャリアアドバイザーの方からは社内稟議を通すのに多少の時間はかかってしまうと言われました。でも、Nijiリクルーティングの方が企業にアドバイスをしながら進めてくれたようで、結果的には、入社承諾書と合わせて学歴欄を削除した履歴書を提出し、応募時に提出した履歴書は保管せずに廃棄してもらうことになりました。

まだ戸籍を変更していなかったので、採用に関わった人事の一部の人と、現場で何かあったときのために施設長には、カミングアウトすることは避けられませんでしたが、他の方には一切カミングアウトせずに、入社をすることができました。

いろんな人がいて当たり前という風土があるので、働きやすいです。

ー 介護職についてみて、やりがいや大変なことはありますか?

キャリアドバイザーの方から初任者研修という資格をとってから入社したほうが給与などの雇用条件が良いということを教えてもらったことから、1か月間資格取得のスクールに通学して、資格を取得してから入社しました。そのため介護に関する基礎知識はわかっていたのですが、やっぱり未経験ということで、覚えることも多く、最初は大変でした。

特にご利用者さんは寝たきりの方もいたり、比較的元気な方でも上手くコミュニケーションがとれないことなどもあり、何をしたいのか、何をしてほしいのかがわからずに上手く動けなかったり、何が嫌で何が嬉しいかなど、一人ひとりの性格を知っていくことが特に大変でした。

やりがいに感じるのは、「ありがとう」という言葉だったり、「楽しい」や「優しい」、「助かる」と言っていただけたときです。自分のしたことに対して、こういった言葉を頂けると、すごくうれしい気持ちになります。

ー 未経験のお仕事でしたが、やりがいも感じられているようで、よかったです。

仕事にちゃんと向き合えるのも、自分にあった働き方ができているからだと思います。現在の職場はLGBTフレンドリー企業と大々的にアピールなどはしていません。現場には派遣の方やパートさんもいるので、職場の社員全員が研修を受けているわけでもありません。

でも、ご利用者さんも含めていろんな人が職場にはいるので、LGBTに限らず、ダイバーシティというのがなんとなく当たり前になっているという感覚があります。カミングアウトはしていませんが、なんとなく気づいているんじゃないかなと思う時もあります。でも、だからといって変に詮索されることもないですし、ちゃんと男性として働けています。

前職では、人事部など前向きに対応をしようとはしていただいたのですが、結果的には会社の進め方と自分の希望が合わずに、働きにくくなってしまいました。逆にLGBTフレンドリー企業と大々的に謳っていなくても、いろんな人がいて当たり前という風土があるから働きやすいという会社もあるのだと思います。

タイトルとURLをコピーしました