
性別欄の書き方 5選
<トランスジェンダーの方向け>
求人企業がLGBTフレンドリーであるかどうか、自分がトランスジェンダーであることを求人企業にカミングアウトをしたいか、タイミング、範囲、などいろいろな条件によって、履歴書の性別欄の書き方のベストな方法は変わってきます。
戸籍変更が終わっているトランスジェンダーの場合には、変更後の戸籍を性別欄に記入すれば何も問題はありません。戸籍変更が終わっていないFTMやMTFトランスジェンダーの場合には次の5つの選択肢があります。
1.戸籍上の性別を記入し、その性別にあわせた服装や身なりで面接を受ける
トランスジェンダーであることをカミングアウトせずに転職活動をするという方法です。戸籍上の性別の服装や身なりで面接を受けることに抵抗を感じるトランスジェンダーの人は多いですが、カミングアウトをすることで選考時に嫌な思いをしたことがあるトランスジェンダーの人は、自認する性別を隠して選考を受ける人もいます。
選考を通過して入社するということになった場合に、カミングアウトをするかどうかが問題になります。カミングアウトをしなければ、働きにくさは抱えたままですが、就職した企業とトラブルになることはありません。ただ自分らしく働きたいと思い、カミングアウトをする場合には、内定をもらっていてもセクシュアリティが原因で内定取り消しとなるケースもあります。
入社する場合にカミングアウトをしようと決めているトランスジェンダーの当事者の場合には、内定取り消しになる可能性を考えれば、より早い段階でカミングアウトをしたほうがいいいかもしれません。
2.戸籍上の性別を記入し、自分の希望の性別の服装や身なりで面接を受ける
履歴書は戸籍上の性別で記入し、服装や身なりは自認する性別で面接を受けるというパターンです。このような転職希望者も多くいます。ただこの場合は、履歴書と面接時の性別が異なるので、面接時に求人企業の面接担当者が驚くケースが多々あります。
たとえLGBTに理解のある企業であったり、面接官がLGBTに関する研修などを受けている場合でも、履歴書と面接時の見た目の性別が違うと驚かれてしまうこともあるかもしれません。
この場合、選考の最初の段階で自然とカミングアウトをするということになります。トランスジェンダー(FTMやMTF)という性自認などについても説明が必要になることも多いです。
ここでセクシュアリティに理解のない企業であれば、そもそも就職しても自分らしく働きにくいということで、求人企業のLGBTフレンドリー度合いを見極めるという考え方もありです。
3.希望の性別を記入し、希望の性別の服装や身なりで面接を受ける
履歴書も、面接時も戸籍上の性別ではなく自分の希望する性別に統一するという方法もあります。
これは自分に一番正直な方法であり、このようにしたいというトランスジェンダーの転職希望者も多いです。一方で、このような方法で履歴書を提出していいのか?面接をうけて大丈夫なのか?という心配をする声も多いです。
履歴書に戸籍と異なる性別を記入すること自体は、合理的な理由があれば、虚偽記載などの問題は生じないとされています。裁判事例などはないのですが、実務上はこれが問題になることはほぼありません。
履歴書に戸籍と異なる性別を記入したことが問題になる企業は、そもそもLGBTに理解がない企業になるので就職対象の企業ではないです。
履歴書と面接時の外見が統一されていた場合に、面接時にカミングアウトをするかどうかという選択肢もあります。
FTMやMTFトランスジェンダーでパス度が高い転職希望者であれば、面接時にカミングアウトをしなくても、求人企業は気づかずに選考が進むケースもあります。ただ入社時には戸籍上の性別を届ける必要があるので、それを考えると面接時にカミングアウトをしたほうが結果的にはスムーズかもしれません。
4.性別欄を記入しない(※性別欄のない履歴書を使用する場合を含む)
履歴書の性別欄を記入しないという方法もあります。転職の場合、基本的には自分で履歴書を用意します。その際に性別欄のない履歴書を利用することもできます。
性別欄があるのに履歴書の性別欄を記入しない場合には、書類選考の際に、記入漏れと求人企業に判断されることもありえます。性別欄の記入漏れだけで書類選考が通過しないということは少ないとは思いますが、転職希望者にとっては、気になるところだと思います。
また履歴書に性別を記入しない場合は、自分が希望する性別の服装で面接を受ける場合が多いです。この時点でトランスジェンダーであるということをカミングアウトすることになります。
5.性別欄にFTMやMTFトランスジェンダーなどの記載をする
履歴書の性別欄にそもそもFTMやMTFトランスジェンダーなど明記する方法もあります。この方法は、求人企業との最初の接点でカミングアウトをすることになります。性別欄だけでなく、履歴書の備考欄に、性同一性障害であるとか、LGBTのトランスジェンダーです、ということを書くケースもあります。